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エコスリー、ロボット活用でプリプレス工程を省力化(2025.5.25 印刷ジャーナル掲載)
多能工化促進に貢献〜5種プレートを毎時80版装填
プリプレス工程のファクトリーオートメーション化(FA化)を提唱するエコスリージャパン(株)(岡本勝弘社長)は、労働力不足に悩む印刷業界に対し、CTP工程からのアプローチとして「仕分け作業」「プレート装填」の自動化・省力化を提案。日本国内でもすでに納入実績のある「プレート・トランスポーテーション・システム(PTS)」に加え、ロボットアームを使ったプレートローディングシステム「ロボット・ローダー」をラインアップし、プリプレス工程におけるロボット技術活用の効果を訴求している。
省力化は事業継続における経営課題
慢性的な労働力不足が叫ばれる中で、2024年の労働人口自体の数字は増加している。これは女性労働者と高齢労働者の増加によるものだが、印刷現場での採用の中心である高卒就職者の2025年の求人倍率は過去最高の3.7倍となり、人手不足状況下での「若手人材の獲得競争の激化」が浮き彫りになっている。
「印刷会社における省力化は喫緊の課題」と語るのは、エコスリージャパン セールス&マーケティング本部 東日本営業部の中野崇大マネジャー。「実際に『仕事はあるが人がいないため機械を稼働させることができない』という話も聞く。省力化=コストメリットというよりも事業継続における経営課題として捉えるべき時に来ている」と話す。
省力化(FA化)が進む欧州、とくに国策として「インダストリー4.0」を推進するドイツでは、賃金の上昇や労働時間の制約、移民政策によるスキルの不均衡化、国際的な競争力の維持、ESG経営への移行など、単に労働力不足だけではない、多岐にわたる省力化推進の背景がある。
日本においても、2019年の働き方改革関連法施行にともなう労働時間の制約や物価高騰にともなう賃上げの機運も高まっている。中野氏は「今後、日本の印刷業界も欧州同様、労働力不足以外の観点からも省力化に取り組む必要性が高まる」とし、同社の主要事業であるプリプレスソリューションにおいても、省力化に向けた提案を強化しているという。
「DTPやワークフローRIPなどのソフトウェアの進化、CTP自体の高速化により、現在、プリプレス工程は他工程に比べて省力化の取り組みが先行している。さらに当社が20年前から販売する現像レスプレートも寄与している。自動現像機の管理と給水・廃液配管が不要になることで設置場所の制限が緩和され、印刷機や制作室の近くにCTPを設置する印刷会社が増加した。これにより、多能工化が促進され、印刷オペレーターや制作オペレーター、近年ではデジタル印刷機オペレーターがCTP工程を兼任するケースも多くなっている」(中野氏)
設置面積を20~30%削減
同社では、CTP工程における省力化の課題として「プレートの装填」と「仕分け作業」を挙げている。とくに複数台の印刷機を保有し、プレート使用量が多い印刷会社ではこの課題がより顕著になり、どうしても専任オペレータが必要になるという現状がある。
エコスリーでは、2018年に「エキスパート・ローダー」を発売し、プレートの装填作業における省力化を提案。すでに日本でも20台近くが設置され、大きな効果を上げている。
ただ、エキスパート・ローダーで装填できるのはスキットが1種類(最大1,200版)、あとはカセットが最大2種類(100版×2)のため、3種類以上のプレートサイズを均等に使用する印刷会社では、効果が出にくいという課題があった。そこで同社が新たに提案するのが「ロボット・ローダー」だ。
「ロボット・ローダー」は、ロボットアームを使用してサイズを問わず5種類のパレットを最大120版/時のスピードでCTPに供給することができる。そのため装填の手間はなく、各サイズのプレートをパレットのまま床や棚の上下段といった指定場所に置くだけで使用できる。
一方、「ロボットアーム=広い設置面積」というイメージもあるが、同システムはCTP2台に対してプレートを供給でき、従来のオート・ローダー2台、エキスパート・ローダー2台を置き換えることができるため、「設置面積は20~30%削減できる」(中野氏)という。

装填作業240時間削減も可能に
同社では、導入効果について、菊全判8万版、A全判2万版、四六全判2万版、年間合計12万版を使用する印刷会社の場合として、次のように試算している。
従来のオート・ローダー使用の場合、装填回数は3,066回で、装填時間だけでも255時間かかる。さらにエキスパート・ローダー(菊全判をパレット使用)使用時でも装填回数は1,133回、装填時間は95時間(1冊/1パレット5分とした場合)を要する。
これがロボット・ローダーの場合、装填回数が116回で、装填時間は10時間となり、装填作業時間だけでも240時間削減でき、これはフルタイムのオペレーターの約6週間分の作業時間に相当する。 さらに年間使用量の12万版の重量はおよそ62トン。このプレート重量をオペレーターが手作業で装填するという重労働から開放されるわけだ。
ロボット・ローダーは現在、欧州を中心に10社程度導入されている。年間7万3,000版を出力するデンマークの書籍印刷会社・Nørhaven社では、ロボット・ローダーの採用により、装填作業は1週間に一度となり、オペレーター1名の約4週間分の作業量を削減することに成功。さらに装填作業が減少することで、オペレーター自身の移動時間も減り、また人為的なミスや損害も大幅に減少したことが報告されている。
また、同じくデンマークのLaursen Grafisk社でもロボット・ローダーを導入することで、1シフトで4台の印刷機を24時間稼働させることに成功。この印刷会社では、装填用のパレットを2段の棚に設置することで、省スペース化をはかっている。
「仕分け作業」を自動化する「PTS」
CTP工程の省力化におけるもうひとつの課題である「仕分け作業」に対しては、すでに国内でも「PTS」の導入実績がある。
PTSは、プレートの版曲げからパンチ、スタッカーへの自動振り分けまでを可能にする自動化ソリューション。出版印刷で82年の歴史を誇る(株)太洋社(本社/岐阜県本巣郡北方町北方148-1、大道成則社長)では、深刻化する人手不足を背景にPTSを導入。2台のCTPから出力される5種類のプレートのパンチおよび版曲げから10種類のスタッカーに自動振り分けするまでを自動化することで、刷版部門の人員を5名から2名体制に移行。また、プレートの仕分け・搬送に関して作業者がプレートに触れていた回数を80%削減できたことで、人に依存するハンドリングトラブル防止にも成功している。(詳細記事)
これを作業時間で見てみると、まず版曲げ作業では、刷版室内にあるベンダー機まで運び、版曲げするプレートは年間4万5,800版程度。これが1回30秒だと仮定すると年間381時間の作業が削減できることになる。
また、パンチ作業では、刷版室内にあるパンチ機まで運び、パンチを開けるプレートは年間1万0,200版。これも1回30秒だと仮定すると年間85時間の作業時間を削減できる。
さらにジョブ情報の記載作業では、年間10万版の手書き作業が1回20秒と仮定すると、これがゼロになることから555時間の作業時間削減に繋がる。
「PTSはお客様の要望に応じて柔軟なカスタマイズが可能である。また、設置後にレイアウト変更があった場合でも、各工程がユニットでジョイントされているため、各工程を増減させることでコスト面、調整日数でもお客様に大きな負担をかけることなく対応できる。これらの設置、サポート、修理すべてをエコスリーが行うというのも『安心感』という差別化のひとつになっている」(中野氏)
ワークフローからも自動化にアプローチ
エコスリーは、ワークフロー工程の自動化にも積極的に取り組んでいる。ワークフロー「アポジー」は1999年にPDFワークフローに移行、2003年にはJDF対応、2007年にAPPE、2010年に自動面付「インポーズ」、2016年には業界に先駆けてクラウドを採用するなど、印刷会社の標準化、自動化に貢献してきた。
昨年のdrupa2024では、世界的なMISソフトウェアプロバイダーであるeProductivity Software社(米国ペンシルバニア州)とのパートナーシップを発表。これにより、顧客獲得から受注、ジョブ管理、財務管理、生産管理に至るまで、印刷会社のニーズに合わせてカスタマイズされたワークフローを構築することが可能になる。統一されたユーザーインターフェースにより、生産プロセス全体を完全に管理できるようになり、業務全体の効率と生産性を向上させることができる。
「エコスリーは、ソフトウェアでもプリプレス工程のさらなる効率化に貢献している。今回紹介したPTS、エキスパート・ローダー、ロボット・ローダーによって『CTP工程の無人化』をより現実的なソリューションとして提案できる時が来た」(中野氏)
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