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株式会社新和製作所

新和製作所、「エナジー・エリート」で乾燥促進印刷強化(2025.6.4 印刷ジャーナル掲載)
「設備を持った広告代理店」〜ディスプレイの構造設計に強み
新和製作所 山崎康成社長 × エコスリー 神前裕樹本部長
「一人前ではなく、一流になる」─パッケージとディスプレイ事業を両輪とする(株)新和製作所(本社/埼玉県川越市下赤坂736-2、山崎康成社長)は、高度な設計技術と一貫生産体制を武器に、「設備を持った広告代理店」を標榜している。今回、この思想をプリプレス工程からサポートするエコスリージャパン(株)(岡本勝弘社長)のセールス&マーケティング本部長・神前裕樹執行役員と山崎社長との対談を通じて「新和イズム」の一端を紹介する。
設計スタッフは11名
神前 御社はパッケージ事業をベースに、ディスプレイや紙什器へと事業を拡大されていますが、事業構成はどのような比率になっていますか。
山崎 現在、パッケージとディスプレイが半々の売上比率になっている。今後もこの比率は維持したいと考えている。というのもパッケージは薄利だがリピートがあり、ディスプレイは利益率は高いもののリピートはほぼない。また繁忙期もまったく逆である。「パッケージの繁閑の波をディスプレイが埋めてくれている」というイメージである。
神前 もともとパッケージの会社がディスプレイ事業をバランス良く取り入れている例はあまり聞きません。
山崎 それは、パッケージとディスプレイでは事業に対する考え方が異なり、設計・営業・業務・工場といったすべての工程でまったく違う動きが必要になるからである。とはいえ、対クライアントとして見た場合、その親和性は非常に高く、営業面で大きな相乗効果が期待できる。

神前 実際に御社が手掛けたディスプレイを拝見すると、構造設計の難易度が高そうですね。
山崎 そこが当社の大きな強みである。現在、設計スタッフは11名在籍している。年間売上40億円弱の事業規模の当社が、仮にパッケージだけの会社だったとすれば、設計スタッフは2〜3人で充分。しかし、ディスプレイはこの設計が重要であることから、ここに積極的な投資を行い、当社では「設計で負けることはない」という自負がある。この「設計」は価格交渉力を生み、「ちょっと高いが、新和さんで」となるわけだ。短い納期の中で、設計スタッフが少なければ、いい発想は出てこない。現在もあと2名程度の増員が必要だと感じている。
神前 他のライバル会社もこの設計を強化しているのでは…。
山崎 試作品ではお金はもらえないし、採用が決まってもその試作品自体に売上は発生しない。これは業界の悪習ではあるが、その設計にどこまで投資できるかが試される。ただ言えるのは、そこが弱ければ仕事は取れないということ。ディスプレイを始める会社は、この設計でつまずくことが多い。当社はそこを強みに変えている。
当社のクライアントは広告代理店、大手印刷会社がそれぞれ4割、残りの2割がエンドユーザーである。この2割を増やすためには、デザインや企画力が必要である。当社では4〜5年前から「設備を持った広告代理店」を目指し、この比率を4割までもっていきたいと考えている。
多能工化で利益率を高める
神前 御社の強みは企画・設計・製造・組立・納品という社内一貫体制によるものづくりにもあると思います。
山崎 現在、5台のUV印刷機をはじめ、CTP、表面加工、合紙、型抜き(13台)、サックマシン(10台)といった様々な生産設備で内製している。とくに近年では補助金を活用しており、現在も売上高100億円超を目指す成長志向型中小企業を対象とした「中小企業成長加速化補助金」にチャレンジしている。
昨年11月に続き、今年4月にも印刷機を新台に入れ替えている。この背景には、「夜勤をなくしたい」という想いがある。つまり労働環境を是正することで人材確保に繋げたいということ。日勤のみになれば当然のことながら生産能力は低下する。そこで如何に利益率を高めていくか。その打開策のひとつが多能工化だと考える。
当社では工程を跨いだ多能工化を進めた結果、オペレータが急に欠勤しても機械が止まることはない。さらに機械性能向上にともなうスキルレス化が進む中、入社2年目の社員が墨一色ならひとりで印刷機を回せるまでになっている。さらに今年の新卒採用の女性が機長を目指すことになった。恐らく4年くらいで実現するだろう。
神前 最近、印刷会社の現場は40〜50歳代が多く、若い人をあまり見かけないような気がしますが、御社の場合、非常に若い人材が多く、活気を感じます。
山崎 現在、グループ全体で約250名、その平均年齢は44歳。ものづくりの会社としては若いのかもしれない。
神前 新卒採用も昨年が13名、今年が7名。業界ではこれだけコンスタントに新卒採用を実施している会社は少ないと思います。
山崎 いま考えると、これらの若い力がなければ大変だった。それだけ活躍してくれているということ。彼らの実力もあるが教育する側のスキルも上がっている。若手の活躍が何より嬉しい。
神前 また職種を問わない積極的な女性雇用も御社の特徴ですね。
山崎 お客様と接する営業は現在22名。そのうちの8名が女性である。きめ細かな対応にお客様からも高い評価を得ている。ディスプレイ事業では化粧品関連も多く、そこではより力を発揮してくれている。
神前 さらにサッカーやゴルフをはじめとしたスポーツ部やバンド活動など、社内を活性化させるエンゲージメントにも力を入れられていますね。最近ではフットサルやマラソンのサークルも立ち上がったとお聞きしています。従業員のエンゲージメントは、企業と従業員の間のつながりを深め、従業員のモチベーション向上や生産性向上に繋がるため、注目されています。

同業者を技術で繋ぐエコスリーを評価
山崎 エコスリーとのパートナーシップは、技術面はもちろんだが、やはりきめ細かな対応が大きな決め手となった。とくに同業間のコネクション的役割については、非常にありがたい。お陰で多くの人脈を築くことができた。
神前 ありがとうございます。当社はオフセットのプリプレス専業メーカーです。そこに集うお客様は同じベクトルをもっています。このお客様同志を繋げるコネクションづくりは非常に大きな意味を持ち、大切な視点だと考えています。
山崎 現在、当社が中心となってパッケージ会社5社によるオープンな技術交流部会を運営している。これはエコスリーの紹介がなければ成り立っていない。非常に感謝している。
神前 多くの会社が技術をオープンにすることを嫌う傾向にあります。とくにパッケージ分野はそうではないでしょうか。同様の課題を抱える会社が互いに解決策を導こうとすれば、そこでアイデアの数も違うし、スピードも違ってきます。業界にとっても非常に有意義な取り組みだと思います。

山崎 互いにノウハウを共有できるメリットは想像以上に大きい。将来的にはオペレータの交換留学的な取り組みも視野に入れている。
神前 御社では、2018年に当社のCTPセッター「アバロンN8」と優れた耐薬品性能を持つプレート「エナジー・エリート」をご採用いただいております。同プレートは、バーニング処理を必要とせずに高い耐刷性を保ち、UVインキやメタリックインキとの相性も良好なプレートです。御社での採用のきっかけとなったポイントはどこにあったのでしょうか。
山崎 エナジー・エリートは、砂目の構造やハイライト・シャドー部の表現に特徴がある。そこに着目し、乾燥促進印刷へのアプローチをより強化することで水を絞り、さらに品質を上げたいと考えた。およそ7年前の導入から非常に安定している。これは最も重要な効果だと思う。
耐刷については余裕を持って2万枚程度を目安にしている。予備版はほとんど必要ないことから、コストメリットにも繋がっている。
さらに高精細スクリーニング「スブリマ」も採用理由のひとつ。現在は、「高精細による差別化提案」というより、モアレやトーンジャンプといった印刷トラブルの回避策のひとつとして運用しているケースが多い。これは非常に有効である。
神前 パッケージ業界でも「刷版工程の無処理化」に取り組む会社が出始めています。当社としては、シビアな品質を要求される仕事に対しては、まだまだ現像タイプが有利だと考えます。
全工程に対する印刷の比率が高い商業印刷に対し、パッケージは印刷で何かトラブルがあった場合、残りの約8割に当たる後加工に影響が出てしまいます。そう考えると慎重にならざるを得ないのです。
なかでもポジとネガで品質が変わってしまうため、この切り替えが難しいところです。当社ではいつでも無処理化を提案できる体制にありますが、御社の仕事内容を考慮すると、慎重に進める必要があると感じています。
その間を取ったひとつの提案として、ガム処理タイプのプレートも有効です。これもネガタイプになりますが、耐刷性という面ではクリアできると思います。いずれにせよ、当社からは常に最新の情報を提供して参ります。

企業の持続可能性の源泉は「人づくり」
山崎 パッケージおよびディスプレイの市場規模は今後もそう変わらないと見ている。しかし製造工場、いわゆる供給側がシュリンクすることで、1社あたりの売上は増えるだろう。そのスピードは分からないが…。言い換えれば「設備ができる会社」が生き残るとも言える。
しかし、その基盤になるのは、間違いなく「人」であり、ここがなければ生き残れないのは明白だ。そのためにも労働環境や待遇についても改善していく必要性を痛感している。これは「社員教育」ではなく「人づくり」。ここが求められるようになると強く感じる。
一方で、「省人化」という観点からも機械で解決できる部分は積極的に投資していく。ただそれ以外の部分では、1人でやっていることを1.5人になってもかまわないので、現場で働く従業員の精神面、肉体面を含めた負担を軽減していきたいと考えている。
神前 そのような御社の考え方に対して、エコスリーはプリプレス工程からサポートできる体制を整え、パートナーとしての機能を強化してまいります。本日はありがとうございました。
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