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    TOWA 特殊で過酷な印刷環境で損紙1/4に削減 (2025.6.25 印刷ジャーナル掲載)

    厚紙を高速でUV印刷 「適応資材の選定も重要」
     「G段を毎時2万枚で」─厚紙印刷の生産性・利益率向上に挑む(株)TOWA(大阪府東大阪市高井田中3−9−10、高本禎郎社長)は昨年11月、エコスリーの高耐刷性ガム処理プレート「Adamas(アダマス)」を全面的に採用し、「ショートランの厚紙ジョブを高速でUV印刷する」という、ある意味「特殊で過酷な印刷環境」において、損紙を1/4に削減することに成功している。

    G段ダイレクト印刷の生産性・利益率向上に挑戦

     TOWAは、1983年に「東和印刷」として創業。輪転機と枚葉機を両翼としながら、商業印刷分野で急成長を遂げてきた総合印刷会社である。およそ10年前からは、とくに枚葉オフセット印刷事業への投資を活発化させ、後加工の内製化までを含めた「印刷事業の高付加価値化」へと大きく舵を切るとともに、当時売上の6割程度を占めていたオフ輪事業を、人員配置の再構築と並行して段階的に縮小させ、2018年12月には完全撤退。その後、2023年までは8色枚葉オフセット印刷機とLED-UV仕様の6色枚葉オフセット印刷機の2台体制となっていた。

     なかでも、2015年に実施した6色機の後付けLED-UV化をきっかけに厚紙分野の仕事が急増。同機はその後、G段の店頭什器を中心とした厚紙専用機として運用され、それに付随する後加工やアッセンブリも事業に取り込むことで高い利益率を弾き出してきた。

     そして2023年12月、当時最速と言われた毎時2万枚の印刷スピードを誇るKoenig&Bauer社製菊全7色+ニスコーターLED-UV機「Rapida106x」(紙厚0.04〜1.2ミリ)を導入。高生産性に加え、高度な自動運転のための数多くの機能が搭載されている同機は、「先進的省エネルギー投資促進支援事業費補助金(A)先進事業」の対象として採択された印刷機でもあった。同社の設備投資もこの「省エネ補助金」の活用が起点となっており、この制度の枠組みの中で、「G段ダイレクト印刷の生産性・利益率向上」という挑戦に乗り出している。

     「商業印刷の需要が激減し、既設機の老朽化も進む中、一方でG段のダイレクト印刷をはじめとした厚紙印刷の需要は堅調に推移してきた。ただ厚紙の仕事は、単価自体は良いものの生産性は良くて8000枚/時、悪くて5000枚/時程度であり、時間を食い潰してしまう。Rabida106x導入の狙いは、この厚紙印刷の生産性向上による利益率の底上げにあった」(高本社長)

    立ち上がり時のインキ制御が重要

     一方、主要資材であるプレートについては、枚葉機2台体制当時から無処理版を採用してきた。その理由について高本社長は「クリーンなイメージがある無処理版はひとつのトレンドでもあるし、現像工程における手間とコストを削減できるメリットもある。しかし、当社が考えた最大のメリットは、現像機に依存しないという点から、複数社購買が可能であること。技術進化が激しい昨今において重要な視点である」と説明する。

     ただ、Rapida106X導入からの約1年は、プレートサイズの問題から、刷版工程はやむを得ず外注に依存していた。その内製化において、同社が選択したのがエコスリーの高耐刷性ガム処理プレート「アダマス」だったわけだ。これは、同社のある意味「ハードで特殊な印刷工程」に起因する選択だったと言える。

     高速運転を追求する同社にとって、Rapida106Xの最大の優位点は、「ドライブトロニックSIS」と呼ばれるKoenig&Bauer社製印刷機独自の機能にある。これは、引き針がないセンサー式のインフィードシステムで、紙を掴んだフィードドラム上のグリッパーバーが左右に最大±7ミリ可動することで位置合わせすることから、癖のある紙や重たい用紙などでも印刷スピードを上げることができるというもの。現在、TOWAの平均印刷スピードは1万5000〜1万8000枚/時で、G段なら2万枚/時で印刷することも多い。この高速運転時に印刷ユニット上でどれだけインキと水が「ついてきてくれるか」が大きな技術的ポイントになる。

     同社の平均通し枚数は2000枚以下。月に250〜300ジョブをこなし、もちろんショートランでも高速で印刷する。そのため、立ち上がり時のインキ制御が非常に重要で、この制御ができなければ多くの資材を消費してしまう。とくに商印と違い、厚紙の場合は、そもそも資材単価が高いし、支給される場合の予備紙も少ない。

    さらに同社の場合、「厚紙の高速印刷」という環境に加え、「UV機」「自動制御」という条件もある。

     「UV機の場合、高いレベルで水とインキを制御する必要がある。どうしてもその幅は狭くなり、無処理版では印刷の変動幅が大きくなってしまう。カラーパッチを読み込んで自動制御するRapida106Xでは、よりその運用は難しく、ショートランの高速印刷では至難の業だ」(高本社長)

     これら同社の特殊な印刷工程において、ベストマッチだったのがガム処理方式の「アダマス」だったということだ。「有処理版、無処理版、ガム処理版、『どの技術が良い・悪い』ということではない。どの方式のプレートでも刷れないことはない。ただショートランの厚紙ジョブを高速でUV印刷する当社に取って、現時点でガム処理方式が適していたということ。現像工程を排除できる無処理版のメリットは魅力だが、当社における最優先項目が『立ち上がり時の損紙削減』だった」(高本社長)

     結果、アダマス採用前と現在を比較して、インキ使用量は激減、損紙については1/4になっているというから驚きだ。「紙料回収会社の担当者も驚いている」(高本社長)

    H液が鍵を握る

     主要資材であるプレートが「アダマス」に決まった段階で同社は、次に水とインキを中心とした資材の再調整に乗り出した。「やはりH液が鍵を握る」と高本社長は語る。

    「欧州(ドイツ)の場合、印刷が汚れると『アルコールを入れろ』となる。そこは合理的で、機上で揮発3%以内ならOKだ。しかし日本の場合は添加3%以内、かつ労働安全衛生法に基づいて3%希釈で在庫しておく必要があり、その保管スペースも必要になる。だからと言って代替アルコールは『麻薬』みたいなもので、『水を管理する』という基本的な技術において、オペレータの教育に良くない。さらにアルコールを使うとインキ使用量が増えることも多い。『H液のみで何とかしたい』ということからマコト化学工業(東京都大宅)に協力を依頼し、オリジナルのH液を開発してもらった」

     また、インキについても高速運転に適した、流動性の高いUVインキを採用しており、この点でもインキング時に非画線部分の感光層をインキのタックで剝がし取るという機上現像の仕組みは、不利だったようだ。

     「アダマスは『高速印刷についてくるプレート』と表現され、それは砂目の特性に起因すると言われることが多いが、そのプレートの性能を最大限に引き出せる資材選定も非常に重要である」と話す高本社長。アダマスのスペック上の耐刷は、UV機で7万5000枚。同社では予備版なしで12万枚まで印刷した実績がある。

     約1000版/月のプレートを消費する同社では、資材コストが上がったとしても、生産性向上や損紙削減で、その数倍の圧倒的なコスト削減効果を弾き出している。「アダマスは、ある意味『尖ったプレート』だと思う。現場主導でうまく性能を引き出せれば、大きな効果やメリットを生む『プロ仕様のプレート』である」(高本社長)

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